神ノ禍 A疑惑の錯綜

神ノ禍 - 疑惑の錯綜 -



十武神の封印が解かれし刻。
我は明けの明星と共に、再びこの地へ舞い戻る。
二羽の烏の鳴き声で、水は溢れ、風は荒び、
火炎を纏いし死の竜巻が、神の降りた地を汚すことだろう。
民も王もそこには無くなり、
ただけだものどもが、始を待つのみになる……―――

――――「暮ノ戦記ラゴン・ラ・ゲルテ 最終章 宵の明星の詩」より

【断章 〈大神術師〉の夢】


【第六章 帰す者、来たる者】

近頃、三角巾を肩から下げていないリッちゃんを見ない。
どうやら猛獣舎で、ファロンちゃんと上手くいってないみたい。
クルちゃんが言うには、とんでもない喧嘩をしてるとか。
今までリッっちゃんは黙って耐えてきた分、
その分だけ爆発の反動が凄まじいとか、なんとか。
心配だわ。変な事件に発展しなければいいんだけど。

――――エレイヌの日記 二十二冊目 より

【第七章 炎の申し子】

クルちゃんに指摘された。
私は他人の事情に、少々首を突っ込みすぎるきらいがあると。
まあ、お節介のクルちゃんに言われたくはないという思いはあるけど、
あながち外れじゃないのよね、その指摘。
最近はあまり首を深く突っ込まないよう、気にかけてるつもりなんだけど。
……分かってる。「つもり」じゃ駄目なのよね。
あー。それでも、やっぱり気になるのよ。
最近のルドウィルくん。
あの子、絶対にフリアちゃんと上手くいってない。

――――エレイヌの日記 二十四冊目 より

【第八章 独眼ノ水龍】

こうなったのは全て、環境の所為。
そう言い訳をすることは、実に容易いことなのだろう。
けれども、私が思うに環境というのは、他の誰でもない自分が整えるものだ。
その、つまり……結局は全部、自分の所為なんじゃないのかなって。
だから、あの人の性根が曲がってるのも、原因は全部あの人自身にあると思うのよ。
……なんて言ったって、あたしには結局何も分からない。
あの人のことを、私は何も知らない。あんな近くで過ごしてきたのに。

――――エレイヌの日記 十二冊目 より

【第九章 《光帝》継承】

ごめんね。本当に、ごめんね。
辛かったんだよね、苦しかったんだよね。
気付いてあげられなくて、ごめんね。
一人にしなければ良かった。
傍に居てあげられたはずなのに、それなのに。
謝ったって、もう遅いのかな。
もう、あなたは元に戻らないのかな。
……もっと早くに気付いてれば、助けられたはずなのに。

――――エレイヌの日記 三冊目 より